IoT(モノのインターネット)の利点

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    Internet of Things(モノのインターネット、IoT)という言葉をさまざまなところで目にするようになりました。しかし、インダストリー 4.0、スマート農業、スマートシティ、コネクテッドカー、そして最近ではメタバースなど、全く異なる技術や概念が IoT の言葉でまとめられてしまっているため、よくわからなくなってしまっているのではないでしょうか。

    過去数年の間、「IoT」は新聞・雑誌、Web サイト、オンライン動画、イベントなどのテーマとなり、誰もが IoT の普及を話題にしてきました。しかし、結局のところ、IoT とは何なのでしょうか? 字義的には、あらゆるものにインターネット接続機能を持たせることですが、そのことによってユーザーにどのようなメリットがあるのか、すぐにはわからない場合も少なくありません。

    IoT という言葉には可能性がありすぎる、つまり逆に具体性を欠いているために、つかみどころのないものとなっているのです。専門家によると、2025 年までに世界中で 250 億個の「モノ」がスマートシステムに接続されると言われています。さらにその上、これらの「モノ」は、今後 10 年間で 50 兆ギガバイトに相当するデータを生成し、世界経済に約 19 兆ドルの利益をもたらすと予想されています。

    この数字は魅力的で、この IoT 市場に参入したいと考える企業の関心を集めています。可能性と機会の海が広がり、そこには具体的にどんな機会があるのか、どんなエンドプロダクトをつなげていきたいのかなどということを見つけるという発見への機運が存在します。MediaTek では、モノのインターネットを実現可能で必要とされるものに変えていくことで、このコンセプトをより具体的なものにしています。

    IoT は、それが導入される市場に合わせて多様化するものであるため、インダストリー 4.0、スマート農業、スマートシティ、コネクテッドカー、ウェアラブル技術、健康・ウェルネス製品、コネクテッドホーム、コネクテッド家電などのト

    ピックについて議論する方が生産的です。つまり、それぞれについて異なるソリューションと機会があるのです。

    メディアテックはこれらの分野ごとに異なるさまざまな機会、多様なユースケース、SoC テクノロジー、接続の種類、システムアーキテクチャを特定しました。情報セキュリティやプライバシーなど、IoT を横断するトピックについては別の機会に取り上げます。

    技術面では、スマートシティで重要な役割を果たす LPWAN(Low Power Wide Area Network)技術があり、電力、ガス、水道の遠隔計測や、スマート照明などのアプリケーションに対応しています。サービスプロバイダーや自治体にとってはコスト削減につながり、現在では不可能なレベルのエネルギー監視機能を提供することができます。

    新しい Wi-Fi 技術(6、6E、7)は、HMI、スマート決済、スマートサイネージ、ゲートウェイ、ルーターなどの屋内アプリケーションにより適しているため、安全なアーキテクチャとともに用いることで、インダストリー 4.0 とメタバースを変革する力を持っています。また、住宅地では、スマート家電、エンターテインメント、スマートフィットネス、ホームセキュリティなど、人間中心のアプリケーションが主流となり、Wi-Fiがコネクテッドホームの中心となるでしょう。この分野でもAI(人工知能)技術が活かされていて、現在使用されているデバイスよりもはるかに直感的で効果的なソリューションを生み出すことができるでしょう。

    全国をカバーするセルラーと 5G は、自動車間の通信に大きな役割を果たし、大都市における安全性の向上と移動時間の改善が期待されます。このように IoT を観察していくと、たったひとつの単語ではありますが、フリーサイズの言葉というわけではないことに気づかされます。高性能コンピューティング、電力効率、コネクティビティ、AI の専門知識を持つことは、私たちを取り巻く世界のさまざまなモノにコネクティビティとインテリジェンスをもたらすために不可欠であり、それぞれ異なる役割を担っているのです。